
もう一年以上も髪を切っていない。髪を伸ばし放題にしているのはロン毛にしたかったからじゃない。
周囲からはいつしかスナフキンと呼ばれるようになっていた。いつもつば広帽子を被っているからだけど、ファッションで被っているわけではない。
ある朝、目が覚めると俺は頭に違和感を感じた。変な突起物が二本もある・・・これはいったい何なんだ?
鏡に映る自分の姿に俺は言葉を失った。まるで鬼だ・・・鬼のような角が生えていた。たった一晩で3センチほどもある角が生えることなんてあるのだろうか?
世界には稀に頭に角が生えている人たちもいるらしいが、それは頭蓋骨の一部だったり脂肪の塊だったりするらしい。
大学病院に行って検査すべきか?とも考えたが、研究材料扱いされるかもしれないと思ってやめた。とりあえずしばらく帽子を被って様子を見ることにした。
この一年間は不思議なことがたくさんあった。いつしか変な夢を見るようになったが、いつも夢の中で俺はスサノオと呼ばれていた。そしてオロチという女と暮らしていた。
オロチは肌の白い美しい女だったが俺たちは純潔だった。なぜか洞窟のような場所で暮らしていたが、昼間は俺が狩りをして肉を調達し、オロチは川で洗濯したり縫い物をしていた。
夜は満天の星空を眺めながら二人でいろんなことを話した。焚き火の炎が燃え尽きるまでずっと話していた。
仕事で外に出る時はいつもつば広帽子を被って出かけた。俺は自由業だったからどんどん伸びていく髪にも周囲の人たちは違和感を感じていないようだった。
昼間外を歩いていると「スサノオ、こっちだよ、スサノオ・・・」という声が聞こえることがあった。声がする方向を振り向いても誰もいなかったが、オロチの声に似ている気がした。
ある日、地下鉄に乗ってスマホから目を離してふと斜め向かいの座席に顔を向けると色白で端整な顔立ちの女がじっと俺を見ていた。あんな美人とどこかで逢ったかなぁと思ったけれど思い出せなかった。
偶然なのかそれから何度となく地下鉄の向かいの座席で彼女を見かけることが続いていた。ふと気付くといつもこちらを見ているので声をかけるべきか悩んだ。
何度目かの偶然が続いたある日、俺は思い切って終点の駅で降りた彼女に声をかけてみた。
あの、失礼ですが以前どこかで逢いましたか?いつもこちらを見ているので気になりまして・・・
彼女はにっこり微笑んで言った。
はい、たぶんずっと以前に逢いました。でも名前が思い出せなくて・・・声をかける勇気がありませんでした。
そうですか、どこでしたかねぇ?
「オロチ、こっちだよ、オロチ・・・」って声が聞こえてスマホから目を離すと視線の先に必ずあなたがいるんです。
え・・・それ本当ですか?
はい、これっていったい何なの?っていつも思っていたんです。
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